一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

民間防衛における、徴兵制とボランティア

 「防災は “Civil Defense” の一つであり、この英語は一般に民間防衛ないし市民防衛と訳されるが、国民を守るという意味であるから国民防衛とするのが適当であろう(鍛冶俊樹『国防の常識』p68-69)

 

 「もとより災害においては消防が動くのが普通だが、警察も付随して動く。交通や治安上の問題が生ずるためだ。災害対処と治安対処を切り離す事は出来ない。これが大規模災害となれば、今回の震災が地震津波原発事故というように連鎖的に災害を引き起こし、それは更に治安やテロ、衛生上の問題にも発展しかねなかった。国家規模で対処しなければならず消防、警察はもとより自衛隊も米軍もその他の官庁も一般企業もさらには市民ボランティアも動員されなくてはならなかった。これは国民防衛である。

 被災民が暴動も起こさず秩序正しく行動したことが外国のメディアに賞賛されたが、これは被災民が社会秩序を守った事を意味する。つまり被災民も国民防衛に参加したのである。

 国民を防衛するためには国民自らが防衛に参加しなくてはならない訳だ(同p69)

 

 「実は軍隊における徴兵制はこの考え方に基づいている。例えば20歳の若者を自衛隊で1年間訓練し、その後各地の郷土防衛隊で年に2週間程度の訓練を受けさせれば、こうした大規模災害時にははるかに有効な救援活動ができたことは間違いない。

 これは各国軍隊に見られる徴兵制と予備役制度に他ならない。軍事訓練は治安対策やテロ対策に役立つばかりでなく輸送、給食、医療、衛生、土木、建設等の訓練を含んでいるのである(同p69-70)

 

 「戦後、日本では徴兵制はなくなったが、戦前、戦中まで徴兵制が敷かれていた。成年男子を数年間、義務として軍隊で勤務させる仕組みである。もちろんその間、戦争があれば戦闘部隊として戦場に派遣されるし、災害派遣にも従事した(同p70)

 

 「もちろん軍に入隊するだけが国防の義務を果たす手段とは限らない。今回の震災で救援活動に携わった市民ボランティアは国民防衛に参加する事で国民の義務を果たしていた。

 従って徴兵されなくとも国防の義務を果たす機会はあるわけだが、その中で敢えて軍隊に入って国防の義務を果たそうとすることを志願というのである。だから志願は単なる就職とは違うのだ。

 ちなみに志願兵を英語で “Volunteer”(ボランティア)という。つまり市民ボランティアは義務を果たそうと志願した人たちなのである(同p71-72)

 

 例えば中学、高校の保健体育や技術家庭の授業で、給食、医療、衛生、土木、建築等の「訓練」とまではいかないまでも、飯の炊き方、包帯の巻き方、工具の使い方等を教えることは出来る。また、希望者には社会人も含めて、夏休みや冬休みに「防災訓練」として1~2週間程度、いずれかの分野を選んで訓練してもらうことも、自治体の災害ボランティアに役立つし、訓練を受けた者も他の自治体に引っ越したとしてもそこで活躍出来る。

 

 

 ▼引用図書 

国防の常識 (角川oneテーマ21)

国防の常識 (角川oneテーマ21)