一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

徴兵制のメリット・デメリット

 「徴兵制は社会一般の国防意識や公共精神の普及に極めて有効である。日本では国防意識も公共精神も学校で教えることすらしていないが、諸外国の学校では重要な徳目である。しかし単に学校で教えるだけでは意識は徹底しない。徴兵制はこうした精神面の教育の側面がある。そしてこれは具体的には市民防衛、経済防衛、情報防衛、思想防衛、文化防衛に有効に作用するのである。

 これと関連することだが、事故や災害時などの緊急対処の訓練としても有効である。日本などでも災害を想定した訓練が行われるようになったが、市民全体が参加した訓練など、なかなか出来るものではない。徴兵制があれば救護法や避難方法、誘導、連絡などを若者にまとめて訓練できるのである(同p90)

 

 しかし、

 

 「実は現代においては軍は必ずしも徴兵制を望んではいないのである(同p91)

 

 「20世紀には飛行機、戦艦、潜水艦、戦車などが戦争の主役となった。これらの武器は操作にも整備にも専門的な技術を必要とし、一時的に徴兵された兵隊では習熟が困難なのである。・・・軍人を一生の職業として志願する兵隊が必要なのだ(同p92)

 

 

 「日本では徴兵制と言うと非民主的にとらえられがちだが、フランスではむしろ逆である。王侯貴族や傭兵の独占物だった軍隊を広く一般市民に開放したのが徴兵制だと考えられている。

 従って軍人を職業化するということは、軍隊を再び一部のエリートの独占物にしかねない危険な試みだと批判されることになる(同同)

 

 「徴兵された兵隊は主に歩兵になったものだが、今やその歩兵ですらハイテク機器を扱わなければならない。19世紀には数ヶ月の訓練で兵隊は一人前になった。現在では1年前後を必要とする。先進国の兵役期間は大体1年ぐらいであるから、訓練だけで終わってしまい実任務に就く余裕がない。徴兵制が軍に有り難がられない所以である(同p93)

 

 

 ▼引用図書 

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