一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

雑記(憲法)

日本国憲法は、帝国憲法と比較して読むと理解しやすい

「成文憲法の制定は、革命などの政治変動の後、新たな統治に関する基本的法秩序を定める作用である」(渋谷秀樹・赤坂正浩『憲法2統治 第6版』p370) 日本国憲法は、建前としては帝国憲法を改正したものであるが、実際上は新憲法として制定されたのである…

【憲法小論 番外編】譲位に反対する理由と、現行法で出来ること

以前、陛下の「生前退位」に反対する理由を書いた。 ichijokanji.hatenablog.com 私は今でも譲位に反対であることに変わりはない。皇位継承に国会が容喙すべきでないこと、しかもそれは皇統断絶を目論む勢力にとって利用すべき「前例」となることが挙げられ…

天皇が「国民」に含まれるかは、「国民」の定義による

私は天皇の「退位」には当然反対であるし、譲位にも反対であることは変わらない。 それとは別の問題として、天皇は「国民」に含まられるや否や、という憲法のテキストで論じられるテーマが、国会でも論じられたようである。 www.sankei.com 国家は国民の団体…

【憲法小論】自民党や産経的ではない、第二の改憲論

【自論抗論】1復元的改憲論から見た日本国憲法第九条 憲法改正に付いては、大きく三つの立場がある。 第一に「憲法を一字も変えるな」という護憲派、第二に「時代の変化に合わせて憲法も変えよう」という改憲派、第三に「そもそも日本国憲法は無効であるから…

【憲法小論 番外編】私が「生前退位」に反対する理由

去る8月8日になされた今上陛下の「ビデオメッセージ」を受け、世論のおよそ9割は「生前退位」に賛成し、政府もこれをを認めるべく、特別立法の制定に向けて動いているようである。 しかし、そもそも「生前退位」とは何なのか。 「生前」とは、生きている…

【憲法小論】14.国事行為は大権事項が基になっている

日本国憲法に定める国事行為は、嘗ての大権事項と重なる所が多い。 大権とは「国法上天皇ニ属スル所ノ権能ヲ謂」(1)い、「天皇ノ地位ニ伴フ公ノ職能」(2)である。 元首としての国務上の大権(統治大権)、皇室の家長としての大権(皇室大権)、大元帥として…

【憲法小論】13.日本の政体の変遷を図で表すとこうなる

憲法は、国家の組織及び作用の基礎法である。 国家の組織とは政体のことであり、日本は建国以来君主政の国であるが、時代と共にその多少の変遷が見られた。 江戸時代は、制限君主政の中の封建的君主政であった。 統治の実権は征夷大将軍が握っており、幕府の…

【憲法小論】12.国家と政体を図で表すとこうなる

憲法とは、国家の組織及び作用に関する基礎法である。 国家の組織とは政体のことであり、各国の政体は、各国の歴史的事実によって異なる。 国家の政体は第一に、君主の有無によって君主政と共和政とに区別する。 君主とは、世襲制の独任機関であり、選挙に依…

【憲法小論】11.国家と国民、統治権を図で表すとこうなる

国家は国民の団体である。社会契約の前提となるような、対立関係にあるのではない。 国家は法的に見て、一つの法人であり、権利能力の主体である。自然人と同様に財産権を有し、また国家固有の権利として統治権を有する。統治権とは、命令強制の権利である。…

【憲法小論】10八月革命説と日本国憲法の有効性

10.八月革命説と日本国憲法の有効性 まず端的に「八月革命説」とは、帝国憲法の改正権者は天皇であったが、ポツダム宣言受諾によって憲法改正権が国民の手に移ったという超理論である。従って本来憲法上許されない、帝国議会に於ける自由な審議が行われ、法…

【憲法小論】9憲法改正権

9.憲法改正権 憲法制定権と同様つまらない法律論でしかないが、制定権同様、一旦立ち止まって考える必要がある。 憲法改正とは憲法典の改正であり、法律を制定、改正するよりも丁重な手続規定が設けられていることが多い。 憲法制定権者は君主国に於ては君…

【憲法小論】8憲法制定権

8.憲法制定権 憲法改正が言われる中で、日本国憲法の条文を如何に改正するかが問題にされるが、そもそも改正されるべき憲法とは日本国憲法なのだろうか。日本国憲法の存在を根拠づける八月革命とは一体何なのか。それとも、日本国憲法は無効であり、帝国憲…

【憲法小論】7国体が変更されたという意味

7.国体が変更されたという意味 まず、国体とは何であるか。 法的に見た国体とは「万世一系ノ天皇君臨シ統治権ヲ総攬シ給フコト」(大審院判例)をいう。これは帝国憲法第一条「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」、第四条「天皇ハ国ノ元首ニシテ統治…

【憲法小論】6法的に見る帝国憲法と日本国憲法

6.法的に見る帝国憲法と日本国憲法 君主は法律上の最高機関であるという意味をもう少し説明したい。 国家は国民の団体であり、法的に見ると一つの法人である。 法人は権利能力の主体であり、意思力を有し活動力を有する。意思を形成し活動するには、表示さ…

【憲法小論】5日本憲法の基本主義は君主主義、立憲主義、統一主義の三つである

5.日本憲法の基本主義 日本憲法の基本主義は君主主義、立憲主義、統一主義である。これは帝国憲法から日本国憲法に、即ち大権中心主義から国会中心主義へと移行しても不変であると信ずる。 第一に君主主義が挙げられる。我国が君主政体の国であることは歴…

【憲法小論】4立憲政体とは国民国家の政体である

4.立憲政体とは国民国家の政体である 専制政体から立憲君主政体への移行は国会制度の発達と同義であり、君民共治の政体への移行でもあった。 英国は立憲政体の母国と言われる。では英国ではいかにして国会制度が発達したのだろうか。 まず専制政体の起源は…

【憲法小論】3国会は国民の法定代表の機関である

3.国会は国民の法定代表の機関である 国会は国民を法的に代表する。法的に代表するとは、民法上の法定代理と同意義である。代表する者とされる者が、予め法によって定まっているのである。 まず国会が国家の機関であるのと同様、国民もまた国家の機関であ…

【憲法小論】2君主は法律上の最高機関であり、国会は政治上の最高機関である

2.君主は法律上の最高機関であり、国会は政治上の最高機関である 君主の有する法律上の権力とは国政上の権威を意味し、君主はその最高機関である。国会の有する政治上の権力とは国政上の権限であり、国会は政治的な意味における最高機関なのである。 政治…

【憲法小論】1立憲君主政体とは君民同治の政体である

1.立憲君主政体とは君民共治の政体である 専制政体とは、君主が法律上の権力と政治上の権力を独占している政体をいう。これに対して、これらを君主と国会が分掌している政体を立憲君主政体という。 法律上の権力を権威、政治上の権力を権限ということもで…