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国家とは何だろうか

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

【憲法小論】3国会は国民の法定代表の機関である

憲法小論

 3.国会は国民の法定代表の機関である

 

 国会は国民を法的に代表する。法的に代表するとは、民法上の法定代理と同意義である。代表する者とされる者が、予め法によって定まっているのである。

 

 まず国会が国家の機関であるのと同様、国民もまた国家の機関である。

 国民は国民として統一の意思を表明することができない、言わば意思能力が不完全なのである。従って国民を代表する者が必要で、憲法はこれを国会と定めた

 

 代理とは、代理人のなした意思表示が本人に直接効力が及ぶものをいう。国会のなした意思表示即ち決議が直接本人即ち国民に効力が及ぶのである。国民が国会の定めた法律に従うのは、このためである。

 

 一方、日本国憲法第43条に「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」とあり、この「代表」の意味は法律的意味ではなく、政治的意味である。

 この条文では「議員」が国民をいかに代表するかを論ずるものである。議員はあくまで国会の構成員でしかなく、国民を法的に代表するのは国会であり、議員ではない。議員と国民の間に法的な関係はなく、ただ全国民を代表すると見做されるという政治的な関係があるのみである。

 

 国会議員のうち、選挙区選出議員は有権者の投票によって選ばれるのであるから、一見すれば選挙区を代表しているようであり、比例代表選出議員は、政党の名で議員となるのであるから政党を代表しているように見える。にも係らず彼等は全国民の代表者と見做されるのである。

 かつて天皇の勅選によってその地位に就いた貴族院議員も国民の代表者であると見做されたことは「すぐれて擬制的であり、現実に一致しない」(1)とされたが、選挙区によって選ばれ、特に政党の名で選ばれた議員を全国民の代表と見做すこともまた擬制的であるのであるから、貴族院議員もまた全国民の代表者であるといえる。

 真の意味で全国民の代表者を選ぶとすれば、全国を一区の選挙区とした大選挙区制(全国区制)を採用する外ない。実現不可能ではないが、「政治的」判断で小選挙区中選挙区を設け、比例制度を採用している。

 

 

 注(1) 野中俊彦ほか『憲法Ⅱ』

 

 

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