一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

【憲法小論】8憲法制定権

 8.憲法制定権

 

 憲法改正が言われる中で、日本国憲法の条文を如何に改正するかが問題にされるが、そもそも改正されるべき憲法とは日本国憲法なのだろうか。日本国憲法の存在を根拠づける八月革命とは一体何なのか。それとも、日本国憲法は無効であり、帝国憲法を改正すべきなのか。

 一般的にはつまらない法律論であるが、しかし極めて重要な問題であり、乗り越えねばならぬ問題であるので、今一度考えてみたい。

 

 

 第一に、憲法とは国家の組織及び作用に関する基礎法であり、また憲法は国家と同時に成立する。従って憲法制定権とは成文憲法憲法典)を制定する権力をいう。つまり憲法制定とは、既に存在している憲法を成文化するだけの行為であり、憲法制定権とは憲法典を制定する権力を意味する。

 

 しかし成文憲法は、それまでの統治の原理(旧憲法)を否定し、新たな政治体制を打ち立て、それを明確化、固定化させるために制定された。例えばフランスでは革命によって専制政体から立憲君主政体となり、共和政となり、再び君主政となり、更にまた共和政となり、革命のたびに政体が変わり、その都度成文憲法が制定された。アメリカは英国の殖民地であったが、戦争によってその支配を脱し、独立国となり成文憲法を制定した。

 我国に於ては、帝国憲法の制定によって封建的君主政体から(一時専制君主政体を挟んで)立憲君主政体へ、日本国憲法制定によって大権中心主義から国会中心主義へそれぞれ政治体制が変更された。

 

 ところで成文憲法制定権者によって、①欽定憲法、②協約憲法、③民定憲法に分けられるとされる。

 ①欽定憲法は、国会制度が未だ存在せず、君主が法律上及び政治上の権力を独占している時分に作られたもので、国会が無いのであるから君主の権力のみによって定める外なく、帝国憲法が欽定憲法と呼ばれるのはそのためである。

 ②協約憲法は、既に国会が存在し、法律上の権力と政治上の権力を君主と国会が分掌している時分に作られたもので、国会の議決と君主の裁可が合わさって定められら憲法典をいう。日本国憲法帝国議会の議決と天皇の裁可によって成立したのであるから協約憲法である。

 ③民定憲法は、君主国ではない民主国に於て、国民と国民代表機関(国会及び大統領)によって定められる憲法である。

 

 つまり憲法制定権者とは、君主国に於ては君主または君主と国民、民主国に於ては国民である

 

 

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