読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

【憲法小論】9憲法改正権

 9.憲法改正

 

 憲法制定権と同様つまらない法律論でしかないが、制定権同様、一旦立ち止まって考える必要がある。

 

 憲法改正とは憲法典の改正であり、法律を制定、改正するよりも丁重な手続規定が設けられていることが多い。

 憲法制定権者は君主国に於ては君主又は君主と国民、民主国に於ては国民であった。では憲法改正権者は一体誰か、正確には如何なる機関か。それは改正手続条項に記されている。ここでは帝国憲法日本国憲法を比較する。

 

 帝国憲法第七十三条

 ①将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要アルトキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付スヘシ

 ②此ノ場合ニ於テ両議院ハ各々総員三分ノ二以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開クコトヲ得ス出席議員三分ノ二以上ノ多数ヲ得ルニ非サレハ改正ノ議決ヲ為スコトヲ得ス

 

 帝国憲法は欽定憲法であり、制定権者は天皇であった。

 改正手続は①発案権は天皇が留保し、②従って帝国議会は提出された条項を修正するのみではあるが、憲法改正に参与することはできる。帝国議会の協賛を経た後、天皇裁可し、公布する

 法律と違い帝国議会に発案権はなく、提出された条項以外の条項を修正することは出来ず、新たに条項を追加することも出来ない。

 憲法典の制定及び改正は立法権の一部であるから、帝国憲法の改正権者は立法大権を有する天皇である

 

 日本国憲法第九十六条

 ①この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

 ②憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

 

 まず発案権は内閣及び各議院の議員にある。両議院で審議決議し、国会が国民に提案すべき改正案が確定(発議)し、国民に提案する国民投票により過半数の賛成を得た場合に承認を経たものとし、天皇はこれを公布する

 日本国憲法は「形式的」には帝国憲法第七十三条の手続を経て改正されたものであるから、欽定憲法であるはずである。しかし実際には事実上の憲法制定議会(制憲議会)が開かれ、その決議を経て天皇が裁可し、公布されたのであるから、天皇と国民の協約憲法であると考えられるのである。

 

 

 次の記事

ichijokanji.hatenablog.com

 

 前の記事

ichijokanji.hatenablog.com