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一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

帝国憲法上諭 第一段① 我が国は上古以来、「君民一致の国体」である

帝国憲法と日本国憲法

 帝国憲法上諭及び日本国憲法前文を比較し、日本憲法の姿を明らかにしたい。そこでまず、『逐条憲法精義』(美濃部達吉、昭和2年)により、帝国憲法の拠って立つ思想を探ろうと思う。

 

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 総て法律、勅令は、本文の前に上諭を附して公布されるのが通例である。大日本帝国憲法(以下、帝国憲法)にもまた上諭が附され、全六段よりなる。

 

【上諭 第一段】

朕祖宗ノ遺烈ヲ承ケ万世一系ノ帝位ヲ践ミ朕カ親愛スル所ノ臣民ハ即チ朕カ祖宗ノ恵撫慈養シタマヒシ所ノ臣民ナルヲ念ヒ其ノ康福ヲ増進シ其ノ懿徳良能ヲ発達セシメムコトヲ願ヒ又其ノ翼賛ニ依リ与ニ倶ニ国家ノ進運ヲ扶持セムコトヲ望ミ乃チ明治十四年十月十二日ノ詔命ヲ履践シ玆ニ大憲ヲ制定シ朕カ率由スル所ヲ示シ朕カ後嗣及臣民及臣民ノ子孫タル者ヲシテ永遠ニ循行スル所ヲ知ラシム

 

 第一段は更に之を四の部分に分つことが出来る。第一の部分に於いては万世一系の帝位を践ませたまうたのは皇祖皇宗の遺烈に基いたものであること、及び君民の関係が上古以来歴史的に連続し今日の国民は即ち皇祖皇宗の臣民の子孫に外ならぬことが言明せられて居る。美濃部達吉『逐条憲法精義』p53)

 

 わが万世一系の帝位は、民意に基いたものでもなければ、又敢て超人的の神意に基いたものとしても認められぬ、それは一に皇祖皇宗から伝はつた歴史的成果であつて、『祖宗ノ遺烈ヲ承ケ』とあるのは即ち此の意を示されたものである。(同p54)

 

 万世一系の皇統は、神武天皇に始まり、歴代の天皇が絶やすことなく受け継いできた歴史的成果であり、社会契約や王権神授説に基くものではない。

 

 『朕カ親愛スル所ノ臣民ハ即チ朕カ祖宗ノ恵撫慈養シタマヒシ所ノ臣民ナルヲ念ヒ』とあるのも亦わが上古以来の国体に基いて居るもので、皇統連綿として窮なきと共に臣民も亦上古以来子孫相承けて今日に至つて居り、今日の臣民は即ち上代の臣民の継続に外ならない君民一致の国体の生ずる所以であつて、この国体が最初の二句に於いて言ひ表はされて居るのである。(同同)

 

 神武天皇の肇国以来、皇統が連綿として続いて来たように、臣民の子孫もまた国民として、歴代の天皇と共にある。天皇と国民は、常に一体となって歴史を歩んできた、君民一致の国体とは、このことをいうのである。