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一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

帝国憲法上諭 第二段及び第三段 日本憲法の君主主義と立憲主義

帝国憲法と日本国憲法

【第二段】

国家統治ノ大権ハ朕カ之ヲ祖宗ニ承ケテ之ヲ子孫ニ伝フル所ナリ朕及朕カ子孫ハ将来此ノ憲法ノ条章ニ循ヒ之ヲ行フコトヲ愆ラサルヘシ

 

 第二段に於いては、わが憲法の最も重要なる基本主義ともいふべき君主主権の原則を宣言し、併せてそれが憲法の制限に服することを示されて居る。それは憲法の本文に於いてその第四条に規定せられて居るところと同じ趣意に帰するもので、本文に規定の有るに拘らず、上諭に於いて更に同じ趣意が言明せられて居るのは、一にそれがわが憲法上最も重要な基礎的の原則であるからである。その詳細の説明は本文第四条の解説に譲る。 美濃部達吉『逐条憲法精義』p59)

 

 美濃部は日本憲法の基本主義として君主主義、立憲主義、統一主義(中央集権主義とも)を挙げている。君主主権の原則とは、君主主義のことである。

 君主主義とは「君主が国家の元首として、その最高の機関として、統治の最高の源泉たる地位に在ますことを意味する(同p18)。そして「君主主義を憲法上の基本主義とする国は、固よりわが国にのみ止まるものではなく、世界にその例頗る多い(同同)

 つまり君主主権の原則といい、君主主義というは、わが国が君主国であること、天皇が元首であり最高機関であることをいうのである。

 

 

【第三段】

朕ハ我カ臣民ノ権利及財産ノ安全ヲ貴重シ及之ヲ保護シ此ノ憲法及法律ノ範囲内ニ於テ其ノ享有ヲ完全ナラシムヘキコトヲ宣言ス

 

 第三段に於いては、立憲主義の最も重要なる原則の一として、個人の権利及び財産の安全を保障することが宣言せられて居る立憲主義の基調ともいふべきものは、第一には議会制度の設置であり、第二には個人の権利を尊重する法治主義の原則である・・・その中議会制度の設置に付いては、上諭の第一段に於いて既に憲法制定の目的として挙げられて居るところであるので、玆に第三段に於いて法治主義の原則を言明せられたのである。『憲法及法律ノ範囲内ニ於テ其ノ享有ヲ完全ナラシム』とは即ち法治主義を意味するものに外ならぬ。(同p59)

 

 法治主義とは「国民各個人の権利義務が法律を以て一定せられ行政権も司法権も法律に従つてのみ行はれうべきものとせらるることを意味する(同p22)。そして「法律は議会の議決を経て成立するものであるから、国民が如何なる権利を有し義務を負ふかは、唯国民がその代表者たる議会を通じて自ら同意を与へた所に依つてのみ定まる(同p23)のである。

 行政権、司法権が国民の自由を制限できるのは、法律にその定めがある場合に限る。立憲主義の下では、法律は国民の代表機関たる国会の決議を経て定まるのであるから、行政作用や裁判によって国民各個人の自由が制限されたとしても、それは自ら同意したことであり、これに従わなければならない。