一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

帝国憲法上諭 第四段 憲法の施行時期

【第四段】

帝国議会ハ明治二十三年ヲ以テ之ヲ召集シ議会開会ノ時ヲ以テ此ノ憲法ヲシテ有効ナラシムルノ期トスヘシ

 

 

 第四段に於いては、憲法施行時期を定め、併せて明治二十三年に第一回の帝国議会が召集せらるべきことを宣言せられて居る。・・・憲法の施行時期は明治二十三年の『議会開会ノ時』と定められて居る。第一回帝国議会は明治二十三年十一月二十五日を以て召集せられ、・・・此の日から日本は立憲政体の国となつたものと見るべきである。

 併しながら、憲法が此の日から効力を生じたと曰つても、憲法の総ての条項が此の時まで全く効力を生じなかつたと云ふのではない。憲法の多くの条項は唯従来既に久しく不文法として行はれて居たものを成文法に書き現はしたに過ぎないものであつて、それ等は憲法制定前から既に国法として有効に成立して居たのであるから、憲法制定の後にも引続き有効であることは勿論で、敢てその施行時期を待つ必要は無い。

 例へば第一条第二条第三条の規定の如きその他天皇の大権に付いての多くの規定の如き、憲法施行の前後に於いて異なる所の無いのは勿論である。憲法に規定せられて居るその他の多くの制度に付いても・・・国務大臣の制度は明治十八年十二月の官制改革に依りて既に定まり、枢密院も明治二十一年から設置せられて居る、その他司法権の独立といひ、予算制度といひ、行政裁判所会計検査院に至るまで、憲法の施行を待たずして設けられた。・・・『議会開会ノ時ヲ以テ此ノ憲法ヲシテ有効ナラシムルノ期トスヘシ』とあるのは、・・・唯憲法の全部殊に議会に関係する規定が議会の開かるゝ時から始めて効力を有することを規定して居るのである美濃部達吉『逐条憲法精義』p60-62)

 

 はじめ、憲法の多くは不文法であった。成文憲法とは、それらの中特に重要なものを一纏めの法典にしたで、憲法典とも呼ばれる。

 わが国最初の成文憲法である、帝国憲法が発布されて初めて天皇の大権が定まり、国務大臣枢密院の権能が定まるのではない。慣習法、太政官布告勅令等によって既にこれらの機関が存在し、その権能が定まっていた。帝国憲法は、これを確認したに過ぎない。