一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

帝国憲法上諭 第六段及び国務大臣の副署 天皇の大権行使は国務大臣が責任を負う

【第六段】

朕カ在廷ノ大臣ハ朕カ為ニ此ノ憲法ヲ施行スルノ責ニ任スヘク朕カ現在及将来ノ臣民ハ此ノ憲法ニ対シ永遠ニ従順ノ義務ヲ負フヘシ

 

 

 第六段に於いては、結語として、国務大臣憲法施行に付いて責任を負担することを明にし、及び重ねて臣民に対して憲法遵由の義務を命ぜられて居る憲法天皇御自身にも効力を及ぼし、憲法に従つて大権を行はせたまふべきことは、前に述べた第一段及び第二段に於いても既に示されて居るところであるが、それに付いての一切の責任は国務大臣の負担すべきところで、若し大権の行使が憲法に違反することが有れば、それは国務大臣の責任に属するのである。『朕カ在廷ノ大臣ハ朕カ為ニ此ノ憲法ヲ施行スルノ責ニ任スヘク』とは、此の意を示すものである。

 それは、その文字上の意義から言へば、始めて憲法を施行する際の事のみを意味するやうであるが、事柄の性質から言へば、将来に亙りても常に憲法が遵奉せれるることに付いて国務大臣が責に任ずべきもので、敢て始めて憲法を施行することのみに限るものではない。臣民が憲法に従ふべき義務を負ふことは第一段の末句に於いても既に示されて居ることで、玆に重ねて之を言明せられて居るのである。美濃部達吉『逐条憲法精義』p64)

 

 天皇の大権行使には国務大臣が責任を負う。つまり天皇は政治上の責任を負わない、すなわち政治上の権限を持たないことを意味する。国務大臣が輔弼をするとは、このことをいう。

 実質的に、天皇の国事行為について内閣が責任を負うこととする日本国憲法と、さほど変わらない。

 

 憲法の上諭には総ての国務大臣が之に副署して居る。それは憲法が国家の根本法たる性質上当然で、単に特定の一省だけの事務に関するものであれば、主任大臣だけ又は内閣総理大臣と主任大臣とだけが副署するのが例であるが、憲法の如き総ての省に関係する国家全体の根本法には全国務大臣が副署することを要するのである(同p64)

 

 

 次回から日本国憲法前文について、『新憲法逐条解説』(美濃部達吉、昭和22年)による解説を踏まえ、改めて読んでみたい。

 

 

 追記(12/7) 本文を一部書き直した。