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国家とは何だろうか

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

日本国憲法前文 第二段 新憲法の永久的平和主義

帝国憲法と日本国憲法

【第二段】

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に排除しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 

 

 前文第二段には、我が国が戦争の権利を抛棄し軍備を撤廃し永遠に平和の国たるべきことを宣言して居る。美濃部達吉『新憲法逐条解説』p16)

 

 (一)我国が軍備を撤廃し戦争を抛棄することは憲法第二章に規定する所であるが、其の結果は仮令外国から不法の侵略的攻撃を受くることが有つたとしても、之を防衛する手段なく、滅亡するの外はない。言ひ換ふれば我が国が其の生存を維持し得るのは、一に外国が此の如き不法の侵撃を加へないことを信頼するの外は無い。・・・それはポツダム宣言受諾に基く已むを得ない結果であるが・・・玆に武器を棄て戦争を抛棄することを決意したといふのである。(同p16-17)

 

 わが国は、外国が不法にわが領土を占領し、領海及び領空侵犯が繰り返し、国民を拉致することが無いよう、「平和を愛する諸国民」を信頼するほかない。戦争をする権利(交戦権)を放棄した以上、もしこのような事態が起こっても一切の反撃を加えないことを決意したのである。

 

 (二)武器を棄て戦争を抛棄した後の国際的関係に付いては、国際社会を構成する諸国が何れも『平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる』ことを信じ、其の間に伍して名誉ある地位を占めたいと思うと曰つて居る。即ち現在に於いては尚聯合国軍管理の下に在り、国交の自由は失はれて居るが、他日其の自由を回復した後は、永久的平和主義の国家として平和なる国際社会の間に伍し、其の名誉ある一員たらんことを望むといふのである。(同p17)

 

 わが国は、国際社会を構成する諸国が「海洋の平和を維持し、先軍政治、無法と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる」ことと信じる。そしてこの国際社会の名誉ある一員となることを望むのである。

 

 (三)我が国は他の諸国に率先して武器を棄て永久的平和を主義とするに至つたのであるが、世界の諸国が此の例を逐ひ全世界が永遠に平和のうちに栄ゆることは我が国の理想とする所で、而も各国が此の如き態度を取ることは其の当然の権利なることを声明し、以て世界各国に平和を勧誘することが、第三句の趣旨とする所である。(同p17)

 

 国家は国民の団体であり、国民は即ち人間であり、人間が利己主義を捨てない以上、その人間の集まりである国家も亦利己主義を排除することは出来ず、如何に平和を希求しようとも武器を捨て、平和を愛する諸国民なる者を信頼し、以て「世界各国に平和を勧誘すること」は永久に不可能であることは、現在の世界を見れば小学生にも理解できることである。