読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

日本国憲法前文 第三段及び第四段 新憲法の普遍道徳主義

【第三段】

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

 

【第四段】

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

 

 憲法前文は其の第三段に於いて、独善的な国家主義を排斥し、普遍的な政治道徳の法則に従ふことが、国家の義務であることを強調して居る。従来我が国に於いては、我が国体が世界に冠たることを誇称し、他国を無視して我が国独り世界に優越するが如くに妄信する思想が広く行はれてゐたが、新憲法前文は之を排斥して『いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない』と曰ひ、国家の守るべき政治道徳は一国にのみ特別なものではなく、世界の各国に普遍的なもので此の普遍道徳の法則に従ふことが、独立国として他国と対等の関係に立つ各国の義務であると曰ひ、我が国も亦他日国交の自由を回復して国際場裏に立つ上は、従来のやうな偏狭な優越思想を棄て去つて、此の普遍的政治道徳の法則に遵ふべきことを強く宣言して居るのである。

 最後に前文は結語として第四段に『日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ』と宣言して居る。それは憲法の精神を明らかにするよりは、戦敗国として世界の諸国に対し、将来我が国の取るべき政治の根本方針を声明し公約したものと見るべきである美濃部達吉『新憲法逐条解説』p17-18)

 

 「独善的な国家主義」をもたらしたのは、天皇親政を我が国体とする思想であり、国家は国民の団体であり天皇はその最高機関であるとする思想が排斥せられた後にいよいよ勢力を増したのである。

 国際協調主義を以て国家の従うべき普遍的な政治道徳であることは第二段及び第三段にある「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」ことから理解される。

 

 

 追記(12/7) しかし現実には「いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国のことは自国の利益となる限りにおいて関係を結ぶ」のである。