読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

【憲法小論】14.国事行為は大権事項が基になっている

 日本国憲法に定める国事行為は、嘗ての大権事項と重なる所が多い。

 

 大権とは「国法上天皇ニ属スル所ノ権能ヲ謂」(1)い、「天皇ノ地位ニ伴フ公ノ職能」(2)である。

 元首としての国務上の大権(統治大権)、皇室の家長としての大権(皇室大権)、大元帥としての大権(統帥大権)、国民栄誉の源泉としての大権(栄誉大権)、祭主としての大権(祭祀大権)がある。

 大権事項とはこれらの中、帝国憲法第六条から第十六条に定めるものをいう。

 

 国事行為とは、「政治(統治)に関係のない形式的・儀礼的行為」(3)であるとされるが、国会の議決や内閣の決定は国事行為を以て初めて法律上の効力を持つもであるから、単なる形式的・儀礼的行為とは言えず、実際上法律行為であり、天皇が法律上の最高機関である証左である。

 

 では改めて国事行為と大権事項とを比べてみる。

 

 内閣総理大臣の任命(6①)・・・任官大権(10)

 最高裁長官の任命(6②)・・・任官大権(10)

 憲法改正、法律、政令及び条約の公布(7ⅰ)・・・立法大権(6)、命令大権(8、9、10)、外交大権(13)

 国会を召集すること(7ⅱ)・・・議会に関する大権(7)

 衆議院を解散すること(7ⅲ)・・・議会に関する大権(7)

 国会議員の選挙の施行を公布すること(7ⅳ)・・・議会に関する大権(7)

 国務大臣及びその他の官吏の任免(7ⅴ)・・・任官大権(10)

 恩赦の認証(7ⅵ)・・・恩赦大権(16)

 栄典の授与(7ⅶ)・・・栄典授与の大権(15)

 外交文書の認証(7ⅷ))・・・外交大権(13)

 大使公使の接受(7ⅸ)・・・外交大権(13)

 儀式を行うこと(7ⅹ)・・・祭祀大権(不文法)

 

 国事行為は、嘗ての大権事項であり、大権とは天皇が国の元首であること等に基く職能であるから、これらの国事行為も亦、天皇が国の元首であり、栄誉の源泉であり、祭主であることを当然の前提としていることが分かる。

 日本国憲法は、天皇が国の元首であることを認めているのである。

 

 

 ※(1)美濃部達吉『改訂 憲法撮要』

  (2)同同

  (3)芦部信喜憲法 第六版』