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国家とは何だろうか

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

潮匡人『常識としての軍事学』(中公新書ラクレ)を読む。②大使館はスパイの巣窟

読書メモ

 大使館の仕事といえば、ビザやパスポートの発給、邦人への情報提供などが思い浮かぶが、実はもっと重要な仕事がある。

 

常識としての軍事学 (中公新書ラクレ)

常識としての軍事学 (中公新書ラクレ)

 

 

 「諜報要員を大使館や領事館などの在外公館に潜入させることは世界の常識といってもよいでしょう」(p127)

 

 世界中にある大使館、領事館は各国のスパイがいて、それを分かった上で受け入れている。

 

 「各国大使館に政治担当参事官や文化担当書記官などの名目で配置されている要員の大半が「その筋の方々」と言っても過言ではありません。なぜ各国は諜報要員を在外公館に配置するのでしょうか。

 答えは簡単。国際法上の不逮捕特権と不可侵権があるからです。在外公館には不可侵権があり、現地の警察官が立ち入ることすらできません」(p127-128)

 

 大使館員となれば、自由にかつ安全に諜報活動を行うことができる。この立場を利用し、各国の駐在武官は軍事機密を引き抜こうとしている。しかし、

 

 「残念ながら、各国武官と同様の任務・権限を与えられた日本の防衛駐在官は一人もいません」(p129)

 

 仮令「専守防衛」が基本原則であるとしても、我国の安全に脅威を与え得る国の軍事機密を収集することは、問題ないだろう。機密を盗むのが悪いのではない、盗まれるのが悪いのだ。一体「我国からサイバー攻撃をすることはない」と公言する国が、どのように情報を収集し、防衛するのだろうか。

 

 「日本にはCIAやGRUに相当する諜報機関はありません。日本政府には「秘密情報を集めるという機能」が完全に欠落しているのです」(同)

 

 同書が出版されたのは2005(平成17)年であるが、現在でも「インテリジェンスが必要」などと言われていることから、相変わらず「秘密情報を集めるという機能」をもつ機関は存在しないのだろう。