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一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

潮匡人『常識としての軍事学』(中公新書ラクレ)を読む。④秘密工作員は、すぐそこにいる

 諜報活動を行うのは、大使館員だけではない。本国から「別の姿」で送り込まれ、スパイや工作活動を行っている。

 

常識としての軍事学 (中公新書ラクレ)

常識としての軍事学 (中公新書ラクレ)

 

 

 「繰り返し述べてきたように、外交官の「カバー」は外交特権を享受できる反面、自ら「その筋」の人間と名乗るに等しいマイナス効果があります。当然ながら、接受国公安当局の監視に晒される。実際、事実上の敵対国である某国連常任理事国の大使館を、警視庁公安部が常時監視しているはず。これでは、重要な秘密工作はできません。

 そこで登場するのが秘密工作員。例えば、CIA関係者が「NOC」と呼称する要員です。外交官や軍人といった「オフィシャル」ではない「カバー」をまとった工作員。彼らは具体的にどのような「カバー」をまとうのか」(p148-149)

 

 「これまで摘発されたり、後に資料から明らかになったりした事例を見ると、最も典型的な「カバー」は「ジャーナリスト」です。それはなぜでしょう」(p149)

 

 ジャーナリストや記者、特派員として対象国へ潜入する。しかもパスポートを使って堂々と入国することができる。

 取材と称して建物に侵入し盗聴器を仕掛ける、海岸線や港湾、橋などの工作物を撮影する。彼らは、カメラや録音機を所持していても怪しまれない。つまり、

 

 「秘密工作員にとって「ジャーナリスト」は格好のカバーなのです」(p150)

 

 しかし、それも今や「世界の常識(p152)となってしまい、各国は新たな「カバー」を送り出している。

 例えば、軍事機密以外にも、大学や企業の研究データを盗み出す「学者」や「ビジネスマン」にも注意が必要である。「宣教師」と呼ばれる職業もまた、秘密工作員として世界中に派遣されていた。

 

 同書を読んで、私が真っ先に思い付いたのは「技能実習」である。そのほとんどが「中国人」であり、派遣先は農村や漁村をはじめとする田舎である。しかも、研修期間を全うする前に「失踪」してしまう。一体彼らは何処にいるのか。まさか自主的に本国に帰るわけがない。日本のどこかに潜伏している。おそらく、森林や分譲地を「爆買い」する「中国人」の下に身を寄せていると考えるのが自然であろう。

 技能実習生の「カバー」をまとう彼らが、散策と称して地形を調べ上げるくらいのことはできる。また、介護職にも技能実習制度が拡張されることもあり、民家に上がることができるようになれば、盗聴器を仕掛けることも容易となる。

 中共という全体主義体制の下では個人は存在せず、日本にいる総ての「中国人」を秘密工作員と見てもいいくらいである。にもかかわらず、彼らを積極的に「移民」の如く流入させようとする日本政府には、このような危機感の欠片も無いのだろうか。