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国家とは何だろうか

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

鍛冶俊樹『戦争の常識』(文春新書)を読む。③軍隊と情報機関

読書メモ

 そもそも軍隊とは何だろうか。そしてその任務とは何だろうか。

 

戦争の常識 (文春新書)

戦争の常識 (文春新書)

 

 

 「軍隊とは本来、武力を行使するための組織である。武力を行使するとは要するに戦争をするということだから、要するに戦争のための組織だと言ってもいい」(p38)

 

 ところが、

 

 「二つの世界大戦では限定的な武力行使から始まって、戦線は際限もなく拡大・・・電波も駆使され、経済、思想、文化までも戦争に動員された。

 従って戦争のための組織も単に軍隊ばかりではなく、各行政官庁の中にも設けられていた。そうした事情を考えると、軍隊は単に戦争のための組織というよりも武力行使のための組織と言った方が正確であろう」(p38-39)

 

 例えば、経済防衛のためには経産省厚労省が、思想防衛、文化防衛のためには文科省農水省が、それぞれ戦争のために活動する。軍隊は戦争遂行の中、武力行使を担当する。

 

 軍隊は武力を行使するだけでなく、敵の情報を収集して分析し、軍事作戦に用いたり情報工作に用いたりする。

 

 「たとえば戦争において敵の司令部を攻撃するの極めて有効だ。司令部が壊滅すれば組織的な抵抗は不可能になる。このため司令部はしばしば集中砲火を浴び何千発もの砲弾に見舞われる。

 しかし、もし司令官の正確な居場所が分かれば、たった一発の砲弾で司令部を壊滅させることが可能となる。

 1996年4月のチェチェン紛争におけるドゥーダエフ大統領の戦死はその典型だ。大統領は自室において携帯電話を使用中に飛び込んできたロシア軍の砲弾で死亡した。携帯電話の電波を探知され正確な位置をロシア軍に知られた結果だと言われている。

 この場合、正確な位置情報が数千発の砲弾に匹敵する威力を発揮したことになる。情報活動は武力行使と一体化しているのである」(p41-42)

 

 「情報活動というのは幅広いもので、情報収集はその第一歩に過ぎない。収集された情報は分析され、その結果は中枢部に報告され、外交や戦闘に役立てられる

 だがそれだけではない。その成果を生かして情報工作が行われる。特定の人物や団体に特定の情報を提供することで影響力を行使するのである」(p44)

 

 これは軍事に関わらず、政府や官庁が特定の情報を「リーク」して世論形成を図ることは日本国内でも行われている。インターネットが普及する前は「やり放題」だったのではないだろうか。

 

 「たとえば現在、日本は安全保障関係の情報はほぼ米国に依存している。テロ情報などはCIA提供そのままを受け入れて警戒態勢を敷いている。この場合、情報提供は命令とほとんど変わらない。情報の力は支配をも可能にするのである」(同)

 

 同書が書かれたのは2005(平成17)年であるが、10年以上たった今はどうなのだろうか。これは調べてみたい。

 

 「情報機関とは一口に言って情報戦争を任務としている軍隊だと言ってよい」(同)

 「戦争には本来、正規戦と情報戦争の二つの側面がある。正規戦とは、国際法上正規と認定された軍隊つまり正規軍同士が公然と武力を行使し合うものを指す。これに対して情報戦争とは非公然の戦いであって、戦争の見えない部分を指す。自らの情報発信を厳しく統制し、逆に相手の情報は丹念に収集・分析し行動する」(同)

 

 「ついでながら言えば、情報機関は大体、秘密の存在だ。確かにCIAやMI6は有名な存在だが実際の活動実績は全くの不明である。世界中のほとんどの国に情報機関は存在するが大部分はその正式名称すら分からない。しかし、だからといってその存在を無視しては戦争はもちろん外交も国際政治全体も語ることは出来なくなってしまう。それくらい情報機関の役割は大きい」(p48-49)

 

 以前にも軍事と諜報について書いた記事があるので、参考までに貼っておきます。

 

ichijokanji.hatenablog.com

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