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一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

鍛冶俊樹『戦争の常識』(文春新書)を読む。④正規軍とテロ組織との違い

読書メモ

  軍隊とは、「武力行使のための組織」であることは分かった。では、同じように武力行使を行う「テロ組織」とは、何が違うのだろう。

 

戦争の常識 (文春新書)

戦争の常識 (文春新書)

 

 

 「軍隊が武力行使のための組織であるとするなら、たとえばテロ組織のアルカーイダは軍隊なのか?公開されている訓練風景の映像などを見ると、明らかに軍事訓練を行っており軍隊としかよびようのないものであることが分かる。

 だが一般的にテロ組織は軍隊とは呼ばれない。つまりテロ組織は正規の軍隊とはみなされないのである。では正規軍と見なされるための定義は何かと言えば、それは、一応、国際法に規定がある。

 (1)部下のために責任を負うものが、その長としてあること。

 (2)遠方から識別できる固有の標識を有すること。

 (3)公然と兵器を携帯していること。

 (4)その行動について、戦争の法規慣例を順守すること。

 以上、「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約」の附属書「陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則」によっている」(p29-30)

 

 テロリストは、(1)ネットワークはあっても明確に組織化されているものは少ないように思う。活動する際は、(2)一般人を装って、(3)兵器を隠し持っている。当然、(4)「戦争の法規慣例」など守らない。

 同書が書かれたのは2005(平成17)年であるから、ISをどう捉えるかはこれから勉強しようと思う。

 

 「テロリストやゲリラやスパイは捕らえられた場合、捕虜としての処遇を受けられず、犯罪人扱いとなるのだ。従って裁判を受けて死刑となる場合も十分ある。それに対して正規軍人は敵に捕らえられても国際法上定められた捕虜としての扱いを受け、安全が一応約束されている」(p51)

 

 「ついでながら言えば、正規軍人が常に国際法通りの処遇を受けられるなどと思ったら大間違いだ」(p52)

 「実際の戦闘においては捕虜は大きな負担になる。圧倒的多数の兵力の前に少数の敵兵が降伏した場合ならともかく、戦闘が継続中に敵兵を拘束しても、捕虜収容所まで護送するだけの兵力の余裕があるとは限らない。かといって釈放すれば、こちらの状況を敵に通報することは分かりきっている」(p52-53)

 「捕虜を尋問して敵の情報を得ることも当然あり得るが、協力的になって貰うには脅迫も必要になる」(p53)

 「こうした戦闘の現実を考えると、捕虜の安全が国際法通りに確保されるのはかなり運がいいと思わなければならない。繰り返すようだが国際法を守って敗北しても何の意味もないのが戦場なのである

 捕虜の虐待や殺害は、第二次世界大戦後長い間、ドイツ軍や日本軍の悪弊のように言われてきた。しかし実際にはソ連軍にも中国軍にも米英軍にもそれはあった。

 いずれにしても戦争の現実を国際法だけで杓子定規に論ずるなどというのは無謀なことなのである」(同)

 

 同書にも指摘されるように、「迷彩服」は「遠方から識別できる固有の標識を有すること」という国際法に反しているが、現実には、迷彩服を着用しない兵隊は戦闘機乗り以外には居ないだろう。