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一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

鍛冶俊樹『戦争の常識』(文春新書)を読む。⑨徴兵制と志願兵制

読書メモ

 憲法改正徴兵制が復活する・・・という言説を時折目にする。しかし、そもそも徴兵制とは何なのか、志願兵制とは何が違うのか。

 日本国憲法徴兵制を禁止しているという。それは本当だろうか。

 

戦争の常識 (文春新書)

戦争の常識 (文春新書)

 

 

 外国の例を見てみよう。

 

 「米国では南北戦争で初めて徴兵制が採用され、第一次世界大戦でも採用、第二次世界大戦でも採用されたが戦後もそのまま継続し、1970年代ベトナム戦争の終了で廃止となっている。

 1980年代には徴兵登録制と言って、万一のときに直ちに徴兵できるように徴兵対象者を政府が事前登録しておく制度が実施され、現在に至っている。

 つまり徴兵制は幾度も廃止と復活を繰り返しているのだが、この間憲法を修正しているわけではない。

 そもそも徴兵の規定は米国憲法に明文化されていない。米国は憲法の規定なしに米国民を徴兵していたのである」(p86-87)

 

 アメリカでは、徴兵制憲法問題ではない。政策判断によって廃止と復活を繰り返している。

 

 「これは別段驚くべき事ではない。フランスは1990年代まで徴兵制を続けていたが、やはり憲法に徴兵の規定はなかったのである。もちろん憲法徴兵制が明文化されている国も多い。ドイツ、ロシア、韓国、中国、イタリア等々。この中でイタリアなどは憲法の規定は変えることなく志願兵制に移行している。従って憲法上は徴兵制をいつでも復活できるわけである」(p87)

 

 日本国憲法に「徴兵制」の定めは無いが、米仏の例を見れば復活させることは可能である。ただし自衛隊は軍隊ではないから、「徴兵」ではなく自衛官という「特別職の防衛省職員」として「徴用」されることになるのだろう。

 

 「米仏もそもそも徴兵制憲法ではなく一般法で規定されていた以上、一般法を新たに制定しさえすれば徴兵制はいつでも復活するのである」(同)

 

 帝国憲法にも徴兵制の定めは無かった。徴兵令(明治六年)とこれを全面改正した兵役法(昭和二年)によって定められていた。

 

 「こうして見ると志願兵制に移行した国も、徴兵制が廃止されたと言うより停止していると言った方が正確かもしれない。決して徴兵制と志願兵制が対立しているわけではないことがこれでお分かりいただけよう」(同)

 

 自衛隊が軍隊であるとして、現在は志願兵制であるが、これは徴兵制が廃止されたというのではなく停止されているに過ぎない。