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一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

鍛冶俊樹『戦争の常識』(文藝春秋)を読む。⑫帝国海軍が「艦隊決戦」の意味を変えた。

 「艦隊決戦」というと、戦艦同士が大砲を撃ち合う戦いをイメージする。しかし、第二次世界大戦では航空戦力の優位が確認され、大砲はミサイルに取って代わり、戦艦の時代は終わった。ならば同時に「艦隊決戦」の時代も終わったように思える。

 

 「しかしこれは正確ではない。戦艦の時代が終わり空母同士で艦隊決戦をしたのだから」(鍛冶俊樹『戦争の常識』p126)

 

 ミッドウェー海戦マリアナ沖海戦など、大東亜戦争では太平洋で日米が「空母同士で艦隊決戦」を繰り広げた。ならば戦後、自衛隊を初めとした各国の軍隊は、空母機動部隊を増強し、新たな艦隊決戦に備えることになるだろう。しかしそういった話はあまり聞かない。

 

 「確かに現在、世界各国の海軍で艦隊決戦を作戦として論ずることはほとんどない。これは当たり前のことで、米国の空母機動部隊に挑戦出来る機動部隊を持っている国がないからだ。つまり艦隊決戦が過去の物になったのではなく米国と艦隊決戦しようとする国がないのである」(同同)

 

 もし日本のヘリ空母にカタパルトを装備しようと画策しようものなら、米国務長官が飛んでくるかもしれない。

 ところで、空母機動部隊を運用するには艦載機が必要なのは勿論だが、空母の護衛にはどれ程の軍艦が必要なのだろうか。

 

 「空母を護衛するために巡洋艦駆逐艦フリゲート艦、小型艦艇が並ぶ。主力兵器はもはや大砲ではなくミサイルだから、ミサイル巡洋艦などと呼ばれる。日本でもしばしば話題になるイージス艦は、飛来する敵のミサイルをいち早く捉え味方に通知し、ミサイルや機関砲で撃破する。また駆逐艦フリゲート艦は敵潜水艦への警戒、攻撃にも当たる。敵潜水艦や敵艦船への攻撃には攻撃型原子力潜水艦も一役買う。

 更にこうした軍艦を支援するための補給艦や給油艦、救難艦、病院船がある。機雷掃海艦も欠かせない」(同p127)

 

 アメリカの海洋覇権に挑むにはこれだけの艦艇が要る。それを動かす船乗りも必要だし、装備も要る。何より、米軍の情報機関に頼らない独自のシステムも必要だろう。何より、開発して訓練し、実用化するには莫大な金がかかる。

 果たして空母を航行させた中共にこれだけの海軍力、軍事技術を用意できるのか。

 

 ▼文献紹介

戦争の常識 (文春新書)

戦争の常識 (文春新書)