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国家とは何だろうか

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

【憲法小論Ⅱ】 国家と国民と統治権

憲法小論

 憲法は、国家の組織及び作用に関する基礎法をいう。国家の組織とは政体のことであり、国家の作用は立法、行政、司法に区別される。従って憲法を理解するには政体、立法、行政、司法について理解しなければならない。しかし、これらを明らかにするには、まず国家とは何かについて説明する必要がある。

 

 国家について簡単に説明するならば、

  ①国家は国民の団体である

  ②国家は法人であり、統治権の主体である

  ③統治権は国家の権利であり、義務である

  ④国家の統治権は、国家の機関である政府が行使する

の4点にまとめられる。

 これを図で表すと、以下のようになる。

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 権利は義務を伴う。従って政府の行使する統治権に対して、国民は服従義務を負う。同様に、政府の統治義務に対応して国民は幸福追求権が認められる。国家と国民には二つの権利義務関係が併存している。

 もし国家に統治権が認められなければ、それは無政府状態であり、国家が成立しているとは言えない。従って国家は、統治の義務を放棄することが出来ない。

 

 では統治権とは何だろうか。端的に言えば、土地人民を支配する権利であるが、具体的には、

  ①国民たるべき資格要件を定め及びその国民を支配する権利(対人高権)

  ②自国の領土を定め及びその領域内における総ての者を支配する権利(領土高権)

  ③自由に自国の政体を定めその組織を定める権利(組織高権)

の3つを合わせたものを国家の統治権と言う。

 

 国家のように統治を行う団体には、外に都道府県や市町村のような地方公共団体がある。国家と地方公共団体との違いは、国家の権力は最高独立すなわち何人にも支配されないものであるが、地方公共団体は必ず国家の権力に服し、国家によって附与された統治権の一部を行使しているに過ぎない。

 

 ついでながら、「主権」についても触れておきたい。主権の語は、①最高独立性、②統治権、③最高機関の意味で使われることがある。

 最高独立性とは本来の意味であり、上述の通り、自己の意思に反して他より支配されない力をいい、国家権力の性質を示すものである。

 統治権は最高独立性とは異なり、支配する力をいう。「主権が及ぶ地域」という場合は、「統治権が及ぶ地域」と言うのが正しい。

 最高機関とは、国家の意思を最終的に確定する力を有する機関をいう。「主権者」と最高機関に就く者を指す。美濃部は「天皇主権」をこの意味で用い、天皇は国家の最高機関であるという天皇機関説を説いた。

 

 では「国民主権」とは何だろうか。これに付いてはかなり私見が入るので、次回にしたい。

 

 

 ※参考文献

  美濃部達吉憲法講話』(大正7年)

  美濃部達吉『改訂 憲法撮要』(昭和21年)