一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

日本国憲法は、帝国憲法と比較して読むと理解しやすい

 「成文憲法の制定は、革命などの政治変動の後、新たな統治に関する基本的法秩序を定める作用である(渋谷秀樹・赤坂正浩『憲法2統治 第6版』p370)

 

 日本国憲法は、建前としては帝国憲法を改正したものであるが、実際上は新憲法として制定されたのである。したがって日本国憲法の解釈は旧秩序、すなわち帝国憲法と比較すると解りやすい。

 

 例えば第41条にある「唯一の立法機関」の意義は、「従来学説では、この修飾句は『国会中心立法の原則』と『国会単独立法の原則』という2つの要求を示すものだと理解されてきた。国会中心立法の原則とは、性質から見て立法にあたる行為を行えるのは、原則として国会だけだという、国会と他の政府機関との権限分配のルールである。他方、国会単独立法の原則とは、法律という名前をもつ制定法は、国会の行為だけで完成するという、法律制定手続に関するルールだ(同p35)という。

 

 これを帝国憲法との比較で読むと、「国会中心立法の原則」とは、緊急勅令の廃止を意味し、「国会単独立法の原則」とは、天皇の裁可権の廃止を意味する。端的に言えば、国会が「唯一の立法機関」であることとは、天皇の立法大権の否定を意味している。

 

 あるいは第66条第1項には「内閣は・・・その首長たる内閣総理大臣」とあり、第72条には「内閣総理大臣は、内閣を代表して」とある。これは内閣総理大臣は、閣内における「同輩中の首席」ではなく、主導的な地位にあることを明文化したものである。

 また第66条第2項には「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」とあり、これは軍部大臣現役武官制の禁止を意味していると読む。

 

 このように読むと、日本国憲法だけでなく帝国憲法の理解が深まり、不文法を含めた「日本憲法」とは何であるかを考えるのに役立つと思う。