一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

軍政と軍令、自衛隊における「ねじれ」

 軍政とは軍事行政という意味で、軍の内部の管理を指す(鍛冶俊樹『戦争の常識』p62)

 

 「軍は戦争のための組織だが、いつも戦争をしているわけではない。平時には基地や駐屯地にいて、訓練や研究、警備などの仕事にいそしんでいる。当然、基地や駐屯地の管理、人事や物品の管理が必要になる。また実際に戦争になっても、出入りや移動が激しくなるだけでこうした管理が必要であることには変わりがない。つまり軍隊といえども他の行政機関と同様の行政管理が必要なのである(同同)

 

 「行政機関の長が大臣であることに鑑みれば、軍政の長も大臣職ということになる。戦前の日本では陸軍大臣海軍大臣がこれに当たる。現在では大体どこの国でも国防省に統合されて国防大臣が軍政の長に当たっている。

 つまり国防省が軍を管理しており、その管理責任者が国防大臣ということになる(同同)

 

 現在の日本では防衛省自衛隊を管理しており、その管理責任者は防衛大臣である。

 

 「軍隊は平時には、他の行政官庁と同様の恒常業務に従事しているわけだが、ひとたび戦争となれば臨機応変に動くことが必要となる。もちろんいかに臨機応変と言っても、各個バラバラに動いていたのでは駄目で、統一された指揮下で行動しなければならない。これを作戦指揮と言い、このための命令を軍令と呼ぶ。軍令上の長が自由に軍隊を動かせるわけだから、軍隊で最上の地位にあることになる(同p63)

 

 「ところでしばしば軍隊のトップあるいは制服のトップとして紹介されるのは統合参謀本部議長とか参謀総長などである。・・・それはこれらの参謀はもっと偉い人に仕えているからに他ならない。最高の作戦指揮権を持っている人、つまり最高指揮官の補佐を彼らはしているのだ(同p63-64)

 

 自衛隊法によれば、自衛隊の制服組のトップは統合幕僚長であり、防衛大臣を補佐する。しかし、最高指揮監督権者は内閣総理大臣である。

 つまり、統合幕僚長は軍令の長ではなく、軍政の長を補佐しているのである。仮にも自衛隊を軍隊として運用しようとするならば、この「ねじれ」を解消しなければならない。

 

 

 ▼引用図書 

戦争の常識 (文春新書)

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