一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

軍政と軍令、自衛隊における「ねじれ」 その2

 「軍隊は命令で動き、特に軍令の伝達される経路を指揮系統という。最高指揮官が発した命令は司令官を経由し更にその配下の部隊の長に伝達される。

 ここで言う司令官や部隊の長はそれぞれその部署における指揮官である。つまり命令は常にその配下の指揮官に伝達され、そのまた配下の指揮官に伝達され、を繰り返して最終的に末端の兵士に届くわけだ(鍛冶俊樹『戦争の常識』p70-71)

 

 「上から命令を受け取った指揮官は、伝言ゲームのように下にそれを伝えればいいわけではない。・・・大体、目的と大まかな手段と期日、そして制約事項ぐらいしか記されてはいない。各部署の指揮官は、その命令を実現するためにその配下が具体的にどう行動するかを新たに下に命令するのである(同71)

 

 「そのためにはまず具体的な行動を策定しなければならない。この策定作業に参謀が必要となるのである(同p71-72)

 

 「なお参謀を別名、幕僚とも言う(同p72)

 

 「参謀は各級司令部、各部隊に配置されているが、その中で参謀本部は、軍全体の行動を策定し最高指揮官に進言することを業務とする。

 旧軍では陸軍参謀総長、海軍軍令部総長がそれぞれ天皇の参謀であった。戦後は統合化が進み、例えば米国などでは統合参謀本部が大統領の下に置かれており、軍の行動について大統領に適切な進言を行う仕組みとなっている(同p73)

 

 自衛隊では統合幕僚長以下、陸海空の幕僚長は、「隊務に関し最高の専門的助言者として防衛大臣を補佐する」(自衛隊法9②)とされている。しかし防衛大臣は最高指揮官ではない。もちろん、防衛大臣を任命するのは総理大臣であるから、各幕僚長は間接的に総理大臣を補佐することになる。

 また、総理大臣は「内閣を代表して」(同7)最高指揮権を行使するのであるから、自衛隊はあくまで行政官庁でしかないことになる。つまり警察と同じなのだ。そう考えると、防衛大臣と各幕僚長は国家公安委員会のようなものかもしれない。

 

 

 ▼引用図書 

戦争の常識 (文春新書)

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