一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

国会と地方議会 ①代表機関であること

 日本国憲法第41条

 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

 同第43条① 

 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。

 

 地方自治法第89条

 普通地方公共団体に議会を置く。

 

 

 「国会は国民の代表機関である。それは国会の議決が法律上に国民の意思の発表として認めらるることを意味するもので、国会が国政を行ふのは即ち国民が国政を行ふのに外ならない美濃部達吉日本国憲法論 補訂』p238)

 

 「国会は国民の法定代表の機関である(同同)

 

 「国民は事実上に統一した意思を有しないものであるから、法律の力に依り代表者を設けて其の意思発表の機関たらしむる必要が有るのであつて・・・議会が国民を代表すといふことは決して既に成立して居る国民の意思が議会に依り発表せらるることの意味ではなく、議会の発表する意思が法律上に国民の総意として認めらるることを意味する。国民はそれ自身に意思能力を有するものではなく、議会制度の設あるに依つて始めて国法上に意思の主体たるのである(同p240)

 

 ここにいう「国民」とは国家機関としての国民の意味であって、国民一人々々を指しているのではない。有権者団という表現が最も近いだろう。

 国民が意思能力を有しないというのは、国家機関としての国民が単一の意思を有しないことをいい、国会が民法上の法定代理の地位に立ち、国会の表明する意思を以て国民の意思とみなすのである。

 

 これを地方団体、例えば北海道、道民(住民)で考えると、道議会は道民の法定代表の機関である。道民は事実上に統一した意思を有しないものであるから、法律の力により代表者即ち議会を設けてその意思発表を以て道民の意思発表とみなすのである。

  そして道議会が道政に参与するのは即ち道民が道政に参与することに外ならない

 

 

 「国会議員は其の権能の行使に付き何者の指揮をも受けず完全な自由の意見に依り其の議決に加はるものであり、又事後に於て国民に報告して其の承認を求むるやうな義務を負ふものではない(同p239)

 

 「法律上から言へば議員は何れの選挙区又は如何なる選挙母体から選出せらるるかを問はず、総て等しく全国民を代表する者たるのである(同p241)

 

 政治的には、国会議員は各選挙区や政党の代表者であるが、法律的には「選挙は単に議員を選定する行為たるに止まり(同p238)、選挙区や比例代表は議員を選出する手段に過ぎず、議員はこれらを代表するものではない。これを「自由代表」という。

 国会議員が「全国民を代表する」というのは「国民は代表機関を通じて行動し、代表機関は国民意思を反映するものとみなされるという趣旨の政治的な意味芦部信喜憲法 第六版』p293)であり(議員は自由代表であるというに等しい)、国会が国民を法的に代表することとは別の話である

 

 地方議会においても同様で、例えば道議会議員は、その権能の行使につき何者の指揮をも受けず完全な自由の意見によりその議決に加わるものであり、又事後において道民に報告してその承認を求めるような義務を負うものではない。法律上から言えば、議員は何れの選挙区から選出されたかを問わず、総て等しく全道民を代表する者たるのである。

 勿論現実には選挙区や所属政党、支持団体の利益のために活動するのであるが、法律上は札幌市中央区だろうと、美唄市であろうと、オホーツク東地域であろうと、どの選挙区から選出されたとしても等しく全道民を代表する者として活動するのである。