一条寛治のブログ

日本憲法と安全保障について考えるブログです。

日本憲法の基本主義は、帝国憲法、日本国憲法に於て変わらない

 憲法の基本原理、あるいは基本原則と呼ばれる「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」は、日本国憲法という成文憲法の基本原則であって、不文法をも含んだ日本憲法の基本原理ではない

 

 帝国憲法の時代に書かれた『日本憲法の基本主義』(美濃部達吉)は、日本憲法の基本主義として君主主義立憲主義中央集権主義の三つを挙げている。

 

 君主主義とは、日本は古来より君主政の国であることを意味する。これに西洋文明より継受した立憲主義を加えて立憲君主政の国となった。中央集権主義とは、明治維新によって統治権を国家に統一することで実現した体制をいう。

 

 これは帝国憲法のみならず、日本国憲法に於いても共通している。君主として天皇を戴き、国会制度を有する立憲君主政の国であり、中央集権体制を維持している。

 

 では帝国憲法の基本原則とは何だろうか。そして日本国憲法でどう変わったか。帝国憲法の基本原則は大権中心主義であり、これが国会中心主義に改められたと思う。

 例えば日本国憲法第41条の国会が「国の唯一の立法機関」は、天皇立法大権の中心である裁可権の廃止を意味し、同時に国会単独立法の原則国会中心立法の原則を言明している。

 あるいは官吏の任免は官制大権によってなされたが、内閣総理大臣国会の指名に基き、最高裁判所長官内閣の指名に基いて任命されることとなった。

 特に憲法改正については、帝国憲法では発案権が天皇に留保され、議会は改正案として提出された部分についてのみ審議出来たが、日本国憲法では国会が自由に審議、発議することが出来る。公布はいずれも天皇が行うが、その形式も立法大権に基き天皇の名で行うことから、国事行為として国民の名で行うことと改められた。

 

 このように「天皇は新憲法に於いては殆ど総ての統治権を失ひたまひ、僅に限られた国事上の行為を行はせらるるのみで、国の最高統治者たる地位は最早有せられ美濃部達吉日本国憲法原論 補訂』p197)ないが、「依然君主たる地位を保有したまふものと見るべ(同p198)きで、君主主義が変更されたとは言えない。

 また「立憲政の観念は・・・国民的議会の存在を中心要素と為すものである(同p237)から、帝国議会が国会と名称を改めたとしても、立憲主義に変わりはない。

 日本国憲法地方自治の章が新たに設けられたと雖も、連邦制を採用したのではなく、従って中央集権主義に変更はない。

 

 日本国憲法を改正するに及んでも、我国が立憲君主政の中央集権国家であることに変更を加えられない。日本憲法の根幹を揺るがし、日本国家そのものを揺るがしかねないからだ。